スーパーで買える材料でルンダンを作ろう

スーパーで買える材料でルンダンを作ろう

私が毎月1回、間借りで営業している「旅するカレー」のビーフ・ルンダンを食べてくれた方から、「ルンダンを自宅でも作ってみたい」という話があった。ルンダンの材料で特徴的なものはレモングラス、ガランガルがメインで他にも幾つか特殊な食材を使うため、旅するカレーでは頑張って入手して使用しているが、日本の一般的なスーパーには売っていないものもある。

そこでスーパーで入手可能な食材でどうにか近いものを作れないか検討してみた。以下、それぞれ成分的なアプローチで代替食材を検討した。そしてそれらを使った簡単なレシピも紹介しようと思う。

ルンダンとは

そもそもルンダン(Rendang)とは何かというと、マレーシアやインドネシアのムスリム料理で、強引に日本語で表現するなら「お肉の濃厚スパイス煮込」だ。牛肉を使うBeef Rendangはシンガポールでの呼び方で、Rendang Lembu(マレーシア)、Rendang Sapi(インドネシア)とも呼ばれる。CNNの世界の美味しい料理50選の読者アンケート版(CNNチョイス版では1位はマッサマンカレー)の1位に選ばれたこともある料理で、濃厚で複雑な風味はまさに優勝の風格。ココナツミルクが茶色くキャラメル化するまで煮込むため3〜4時間程度かかるが、その時間をかける価値は十分にある。

手前の茶色いのがルンダン

ちなみに、CNNの50選のなかにはラクサ、ロティ・パラタ、海南チキンライス、チリクラブなど私が大好きなシンガポール料理も含まれている。日本のお寿司が3位に入っているが1位と2位はインドネシア、4位以降もアジア勢が大変健闘している。フィリピンのレチョン・バブイ(豚の丸焼き。マニラから少し離れた町ラス・ピニャスで友人から食べさせてあげるよと言われてついていったら代金6,000ペソはまさかの全額私持ちだった思い出の料理)、マレーシアのペナン・ラクサ(ビザ更新却下→異議申し立てして再受理されるまでの間ペナンに潜伏中に食べた思い出の料理)、サテー、タイのムー・ナムトック、どれも懐しくて思い入れがある料理がずらーっと並ぶのを見るとまた行きたくてむずむずしてくる。

レチョン・バブイ

脱線した。ルンダンに話を戻すと、スパイスで肉などを煮込んだものはほぼルンダンと呼べるらしい。Wikipediaによるとインドネシアのルンダンの種類は実に55種類もリストアップされている。カバー範囲広くて素敵。バリエーションも牛肉、豚肉、鶏肉、水牛肉、ジャックフルーツなどほぼ何でもありだし、汁有りも無しもある。お肉は圧力鍋を使ってとろとろにしても美味しいし、じっくり時間をかけて好みの柔らかさに煮込むのもまた良し。個人的には汁有りと無しの中間くらいでお肉はほどほどに柔らかくて肉々しい食感のタイプが好きだ。

ルンダンに使う食材のうち、代替の検討が必要な入手しにくいと思われる食材は以下の通り。以下、各食材の代替を検討する。

・レモングラス
・ガランガル
・シャロット
・キャンドルナッツ
・こぶみかんの葉
・CCA

レモングラス

レモングラスはイネ科の多年草でインド、東南アジア、スリランカに多く生息しており、爽やかなレモンに似た香りを持つ。乾燥させてお茶にしたり、細かく刻んだりペーストにしたりしてカレーなどの料理に使用する。旅するカレーのルンダンでは生のレモングラスを細かく刻んだ上でブレンダーでペーストにして使っている。

レモングラス

レモングラスの香りの成分を調べてみるとレモンよりも成分的には盛り沢山というか、かなりの豪華キャストだった。なるほど東南アジアの料理の香り付けとして多用されるわけだ。
料理にレモンのの香りだけを、しかも本家レモンよりも重厚な香りを提供してくれる。いろんな料理に使われるのは必然なんだろう。レモングラスって素晴しい。

以下、レモングラスの各成分に着目して代替食材を検討した。

・シトラール
レモングラスの香り成分の70~80%を占める。いわゆるレモンの香りの中心となる成分。代替としてはレモン一択だろう。ただしレモンのクエン酸はたいへん酸っぱい。この酸っぱさはルンダンには不要であり、どうにかして消去する必要があるが、クエン酸は酸性であり、アルカリ性の物質と中和反応する性質がある。つまりH+イオンをOH-イオンでH2Oに中和してやればレモンの酸っぱさは水となって抹消することができるはずだ。ということでスーパーで入手可能なアルカリ性の食材として食用の重曹を使う。これでシトラールをモノにできるはず。
さらに嬉しい副産物として重曹はお肉の蛋白質を分解して水分を取り込みやすくするのでお肉が柔らかくなるメリットも期待できる。

・ゲラニオール
モモ、ラズベリー、グレープフルーツ、リンゴ、プラム、ライム、オレンジ、レモン、スイカ、パイナップル、ブルーベリーのような芳香と言われている。なんだかたくさんありすぎて選択に困ってしまうが、ここではりんごジュース、オレンジジュース、パイナップルジュースあたりが代替候補となりそう。

・ファルネソール
バラやレモングラスに含まれるとのこと。うーんバラの香りも混ざっているのか。バラ科の食材で代替できるかも知れない。バラ科の食材は、いちご、りんご、さくらんぼ、びわ、花梨、梅、プルーンなどがある。そういえば最近は旅するカレーのビーフ・ルンダンには隠し味にプルーンを使っていたが、これはレモングラスと共通の成分が含まれているということで間違いなく相性が良いはずで間違っていなかったことが判明した。代替として一番入手し易いのはりんごジュースだろうということでりんごジュースを採用する。

・ネロール
新鮮な海辺の香り、らしい。シトラス系の香りともある。ラベンダーの香り成分の1つでもある。代替は、なかなか難しい。スーパーで入手可能な食材としてはあまり適切なものが思いつかず、これは省略することにする。

シトロネロール
これもざっくり言うとバラ系の香り。上記のファルネソールの代用と同じ考え方で、リンゴジュースで代替することにする。

ミルセン
ローリエ、キャラウェイ、フェンネルに含まれる成分。キャラウェイとフェンネルは日常的にカレーを作る人は常備していそうだけどスーパーでの入手は困難な可能性が高い。代替はローリエ一択。

以上、香り成分については方向性が見えてきた。あとは食感と風味も考慮したい。同じイネ科の植物で身近なのはイネ、麦、サトウキビなどがある。これらの茎が利用できそうだが、スーパーで入手するのは難しそうだ。スーパーで入手可能な食材で、かじってみて一番近いと思うのはミョウガだ。レモングラスはミョウガにレモンの香りを加えて繊維を強化した感じがする。ミョウガはショウガ科なので、相性は悪くないはず。ミョウガに香りづけを施すのが良さそうだ。ちなみにミョウガの英名はJapanese Gingerで、これを食べるのは日本人くらいらしい。

以上、調査した結果、結論としてはレモングラスはミョウガ+パイナップルジュース+レモン汁+重曹+りんごジュース+ローリエでほぼ代替できるのではないかと考えられる。レモングラスモドキの作り方は後述。

ガランガル

ガランガルはショウガ科の植物の地下茎で、生姜とはかなり近い仲間だ。ガランガーとかカーとも呼ばれている。

ガランガルの代表的な香り成分としては、情報があまり見付からなかったがすばらしい論文を見付けた。これによると、1,8-シネオール、リナロール、ゲラニルアセテート、チャビコールアセテート、オイゲノールが主要な香り成分であることが分かった。そのうち1,8-シネオールが約50%を占める。

スーパーで入手できる生姜と比較すると、1,8-シネオール、リナロール、ゲラニルアセテート、オイゲノールが重複しており、チャビコールアセテートのみガランガルが持っているが、含有率としては微々たるものなので無視することとする。ガランガルは生姜と共通する1,8-シネオールが遥かに多いということで、生姜のぴりっとした風味をより強くしたものと言える。

1,8-シネオールを多く含む食材は、ユーカリ、セージ、カルダモン、ローズマリーあたり。代替をどうするか。カルダモンを使うか、生姜増量でも良いかも知れないが、あまり拘らなくても良いかも知れない。

ガランガルは香りだけでなくぴりっとした風味も重要だ。香り以外の成分も見てみよう。

・ガランギン
有機化合物、ポリフェノールの一つで、抗細菌作用、抗ウイルス作用、乳癌細胞の増殖を防ぐ効果があるらしい。ただ香りや風味についてはいまいち不明。名前的にガランガル特有の成分と思われる。

・β-ストステロール
植物ステロールの一種で、コレステロールと似た構造を持つらしい。アボカド、かぼちゃの種、カシューナッツ、米糠、クコの実、コーン油などにも含まれる。ただこれらの食材はそれほど共通する特徴的な香りがあるわけではないのと、これらを特徴付ける味や風味もいまいち無いように思える。代替を検討する上ではとりあえず対象外で良いかも知れない。

・フラボノイド
チョコレート、はちみつ、蕎麦、大豆、ココア、ワイン、オレンジなどに多く含まれるらしい。これも共通する特徴はいまいち見出せないが、チョコレートやココア、はちみつを入れたらコクも出せそうなので少しだけ入れてみると良いかも知れない。

以上、ガランギン、β1ー1ストステロール、フラボノイドの説明を読んでもいまいち代替食材が特定できないため、直感の助けも借りることにする。生のガランガルを齧ってみると生姜の雰囲気はあるものの、酸味やほんのり柑橘系の風味がある。何よりぴりっとした辛さが非常に強くてそのままでは食べるのはややつらい。

どう代替するか。生姜をベースにする以外の選択肢はなさそうで、これに辛さを加えることでカバーする方針にしよう。そしてガランガルの辛さは明らかに赤い辛さ(唐辛子の辛さ)ではない。ガランガルの辛さの成分は調べても分からなかったが、黒い辛さ(ブラックペッパーの辛さ)に近いと感じた。Wikipediaによると「ブラックペッパーに似た強いテイスト」との記載があるのでやはりブラックペッパーで辛さを追加するのが良いと思われる。あとは酸味と柑橘系の香りだ。酸味はレモングラスで検討したレモン+重曹を軽く酸味が残るくらいの調整にして、柑橘系の香りはレモングラスとほぼ共通ということで似せることができそうだ。ガランガルの代替は生姜+レモン汁+重曹+はちみつということにしよう。ガランガルモドキの作り方は後述する。

シャロット

シャロットは赤玉ねぎの小さなやつで、スーパーに売っている白いやつ、エシャロット(根らっきょう)とは別物だ。
ただ少々ややこしくて、シャロット(英語)はフランス語ではエシャロットとなり、両者はよく混同されてしまっている。かなり違うのでシャロットの代替としてエシャロットは使えない。赤玉ねぎと良く似ているので赤玉ねぎで代用できるのではないかと思うが、現地で教えてもらったレシピは赤玉ねぎとシャロットの両方を使っていた。ただし、全部赤玉ねぎでもそれほど違いを感じないので赤玉ねぎで代替可能と思われる。さらに赤玉ねぎが入手できない場合は普通の玉ねぎでも大きな問題は無いだろう。

シャロット
エシャロット

キャンドルナッツ

キャンドルナッツは東南アジア原産で、ハワイなどでも栽培されているナッツの1種。油を多く含み、ろうそく代りに使用されていたためキャンドルナッツと呼ばれている。シンガポールのスーパーには普通に売っていたが日本のスーパーではまず見かけない。一番近いのはマカダミアナッツだが、生アーモンドやカシューナッツで代用できる。スーパーで一番入手し易いのはカシューナッツ、塩味が付いていないほうが全体の塩分の調整がしやすい。そういえば昔インド人から、カシューナッツは上品な甘味が出せるのでバターチキンカレーに使うと良いよと教えてもらったことがある。

こぶみかんの葉

こぶみかんのの葉はタイではパイマックルーと呼ばれ、強い柑橘系の香りを持つ。スパイス料理に爽やかな柑橘の香りを加えることができるので東南アジアの様々な料理に使われている。タイ料理に入っている食べられない葉っぱはほぼこれだ。香りの成分としてはリナロール、シトロネラール、ゲラニオールが中心なので、前述のレモングラスとリナロール以外は重複する。

リナロールはローズウッド、ラベンダー、コリアンダーのエッセンシャルオイルに多く含まれる。スーパーの食材でリナロールを補うことは少々困難なので、2/3がレモングラスと重複ということで今回は省略とする。

CCA

CCAとは私が勝手に命名して呼んでいるミックススパイス。シナモン(C)、クローブ(C)、アニス(A)をブレンドしたものでルンダンの仕上げに使っている。中華+東南アジアの雰囲気を演出する大変重要な仕事をしてくれる不可欠なスパイスだ。ちなみにこれはチャイを作るときに使ったり、ホットワインに入れても美味しい。キャンプに行ったときに相方が2杯のホットワインにこのCCAをうっかり大さじ3くらい入れてしまい、一口でむせかえるほど強い香り&苦い&粉っぽいホットワインになってしまった事件があった。みんな主張強めのスパイス達なので入れすぎ注意。

シナモンとアニスはスーパーの中華食材コーナーで概ね入手できるが、クローブは難しいかも知れない。ただクローブはスパイスでカレーを作る人は必ず一度はクローブにハマる「クローブ期」を経験するらしいので、持っている人も多いかもしれない。

CCAを手軽に代替するなら五香粉が使える。五香粉はスーパーのスパイスコーナーにはほぼある。その構成はアニス、シナモン、クローブ、ウイキョウ、花椒の五種類。五香粉の主役はアニスとシナモンなのでCCAにかなり近い。

スパイス

ルンダン用のメインのスパイスは幾つかのスパイスをブレンドしてルンダン専用のミックスを作っているが、それほど特殊なブレンドではないので市販のカレー粉で代用できる。

レモングラスモドキ+ガランガルモドキの作り方

レモングラスモドキとガランガルモドキの食材は一部共通するので、ここでは合わせて作ってしまうことにする。酸味をガランガルの酸味を再現したいので、少しだけ酸味が残るくらいに重曹とレモン汁の配分に注意する必要があるため、味見しながら調整する。

作り方(4〜5人ぶん、後述のレシピで使う量)

生姜・・・20g
ミョウガ・・・20g
レモン汁・・・大さじ2
重曹・・・少々
はちみつ・・・小さじ1
パイナップルジュース・・・大さじ1
りんごジュース・・・大さじ1/2
黒胡椒(ブラックペッパー)・・・小さじ1/2
カルダモンパウダー(あれば)・・・小さじ1/2
ローリエ  1枚

(1) レモン汁と重曹は先に混ぜておく(しゅわーっとなります)。味見してわずかにクエン酸を感じる程度にする。
(2) 全部合わせて置いておく。
※後述のルンダンの手順の最初で玉ねぎなどと一緒にミキサーかブレンダーでペーストにする。

ローカライズド・ルンダン(3〜4人ぶん)の作り方

検討した結果、代替可能であろうと思われる食材を使った日本国内向けローカライズド・ルンダン簡易版のレシピは以下の通り。

材料(4〜5人分)

・玉ねぎ・・・250g
・レモングラスモドキ+ガランガルモドキ(上記の作り方を参照)・・・60g
・にんにくすりおろし・・・8g
・しょうがすりおろし・・・8g
・カシューナッツ(なければアーモンド)・・・15g
・パプリカ・・・半分
・カレー粉(赤缶とか)・・・大さじ2
・一味(七味でもOK)唐辛子(辛くする場合にお好きなだけ使う)・・・お好み
・塩・・・8g
・砂糖・・・16g
・油・・・20cc
・牛バラブロック(なければ牛モモでも良いしカレー・シチュー用の牛肉でも良い)・・・ 500g
・ココナツミルク・・・150g
・水・・・150g
・五香粉・・・小さじ1

【作り方】

(1) 適当に切った玉ねぎ、パプリカ、レモングラスモドキ、ガランガルモドキ、カシューナッツ、にんにく、しょうが、水50ccをミキサーに入れてペーストにする。水が足りずにペーストにならない場合は水を適当に足す。

(2) 大きめのフライパンに油20gを入れ、(1)のペーストを中火で15分ほど炒める。焦げつかないように注意する。

(3) カレー粉大さじ2、お好みで一味唐辛子、サイコロ状にカットした肉を入れてよく混ぜ、5分ほど肉に火を通す。

(4) ココナツミルク150gと水150g、塩8g、砂糖16gを加え、弱火で3時間程度煮込む。色が茶色くなって、水分が蒸発してスタート時の半分くらいに減ることを目安に煮込む。焦げつかないように注意してときどきかき混ぜること。

5) 味見して肉が柔らかくなっていることと、味に満足したら仕上げに五香粉を小さじ1入れて混ぜる。水分が多い場合は最後に強火で数分加熱して水分を飛ばす。

できあがり。

ライスはできればインディカ米(タイ米などのいわゆる長粒米)がベター。ジャポニカ米(日本米)を使う場合は水を少し少なめに炊いてぱらっとさせたほうがルンダンに良く合う。

まとめ

ルンダンは私にとって大変思い入れのある料理で、初めて食べたのはジャカルタに行ったときだった。インドネシアのとある会社を訪問するついでにたっぷり観光した。シンガポールで知り合ったジャカルタ出身の友人が同行してくれて、あちこち案内してもらった。

当時から料理が好きだったのでローカル料理をリクエストして連れて行ってもらったレストランで所謂パダン料理を食べた。パダン料理とは、注文もしていないのにテーブルに小皿がピラミッドの如く積み上げられ、好きなものを食べて食べたぶんだけ支払うという素敵なシステムで、最初は注文していない料理が次々と運ばれてきて驚いた。その中の一品にルンダンがあった。

こんな美味しいものがこの世にあったのかと思うほどの衝撃だった。そして容赦なく辛かった。もともと辛い料理が苦手だったが、しかしルンダンはそれを打ち消してしまう美味しさだった。
シンガポールに帰ってからもルンダンを売っている店は普通にあったのでよく食べていた。
当時は毎日が綱渡りの日々で、忘れられないたくさんの思い出とルンダンが直結している。とても苦しかった時にルンダンを食べて「もはやゲームオーバーだけどルンダンと出会えたという成果はあった」と思ったこともあった。

あちこちをふらふら放浪した後帰国して会社員になって、忙しい日々にルンダンを忘れかけていた頃、幸運なご縁があって間借りカレー屋をオープンすることになった。メニュー選定はほとんど迷わなかった。あのルンダンをお客さんに食べてもらおうと思った。

「ルンダンを自宅で作ってみたい」と言われてレシピを説明すると「いや、そんな材料手に入らないから、無理。もっと簡単にさくっとできないかしら」と言われた。そこで以前からやってみたかった成分的なアプローチで食材とレシピを再確認する作業にトライしてみた。特徴が共通する他の食材で代替しつつ、省略しても大きく差が出なさそうなものは思い切って省略した。食材の特徴が似ているものを同じ方法で調理すれば高クオリティで再現できるはずだという方針で、この作業は予想通りとても楽しかった。このアプローチで他にも未知の食材の組み合わせが見えてくるかも知れない。実際ルンダンの方向性を損わずに香りや風味にブーストをかけるために使えそうな幾つかの食材の発見もあり、今後レシピを改良していくヒントも見付かった。

今回のレシピでは代替食材の選択と省略する食材の根拠は一応全て網羅したつもり。もちろん完全に一致はしないけれど、再現度は低くないはずだ。この調査結果を公開する前に、念のため自分でも作ってみた。理屈的にはそこそこ再現できるはずだと思っていたが、その結果は予想を超える再現度で自分としては大変満足できた。

レモングラスとガランガルはタイカレーでも使うので、今回のモドキは汎用性も高いと思う。そして紹介したレシピは簡易レシピにすると言いつつけっこう面倒な手順になってしまったが、物好きな人はきっと試してくれると思う。たぶん。